以前、石鹸はオイルと水と苛性ソーダからできるというお話をさせて頂きました。
最終号となる今回は、石鹸の原料の中でも最も重要であり、石鹸の質を
決定するオイルとこだわり商品研究所の商品について書かせて頂きたいと
思います。
原料にオリーブオイルが使われている有名な石鹸に、オリーブオイル70%以上の
マルセイユ石鹸、オリーブオイル100%のキャスティール石鹸があります。
肌に良い、肌に優しいことで有名なオイルと言えば、オリーブオイルや椿油、
ホホバオイルなどが有名ですね。
オリーブオイル、椿油はそれぞれオレイン酸85%、オレイン酸73%と人の肌に
なじみやすく、皮膚をケアして、再生を促すオイルであることは有名ですね。
ちょっと小難しいお話しになってしまいますが、椿油とオリーブオイルを
石鹸にした場合、泡立ちの控えめなところ・しっとり感・解け崩れのし易さが
非常に似た使用感の石鹸となります。
どうして似た使用感の石鹸になってしまうかというと、オレイン酸の含有量が
2つのオイルとも70%以上含まれているからなのです。
石鹸の原料の1つであるオイル。
オイルから作られる商品について、考えてみませんか?
各オイルの小知識と、こだわり商品研究所さんの商品を超主観的にピックアップ
してみました。
超主観的なコメントまでも添えさせて頂きましたので、ご参考までに・・・。
■椿油
オレイン酸 85%
パルミチン酸8%など
椿油石鹸はオリーブオイルの石鹸に良く似た使用感ではありますが、
シャンプーした場合は、洗い上がりに違いがでます。
『髪の毛に良いオイルといえば、椿油!』という位なだけあって、ハリとコシ、
そしてツヤがでます。
椿油の石鹸でシャンプーをし、椿油でしっとりさせるのがお気に入りです。
【リマナチュラル 椿油】
メーカーさんの『身土不二』、『マクロビオティック』という考え方に共感。
実は椿油、椿油特有の匂いがするのですが、商品によっては強く匂うものが
あります。鮮度や脱臭しているかの違いや、製法の違いでしょうか。
こちらの商品は活性白土で脱臭処理されているそうなので、匂いを気にせず
上質な椿油効果を期待できるそうです。
マッサージオイルや基礎化粧品、ヘアケアと万能の椿油。
私は霧吹きにいれた精製水100ccに、椿油を数的おとしたものを、衣類のシワ
のばしや静電気防止、寝癖直しにつかっています。
顔の乾燥が気になる時はメイクの上から、吹きかけたりもします。
【リマナチュラル 椿油トリートメント・ヘアスプレー】
わざわざ霧吹きや精製水を用意するのが、面倒!!という方はこちらが
使いやすいかもしれません。まず髪の毛から椿油効果を試したいときは、
こちらの商品から始められると手軽で良いかと思います。
ちょっと変わった使い方としては、シャンプーする前に乾いた髪や地肌に
スプレーし、よーくマッサージしてからシャワーキャップをかぶって10分ほど
待ってからシャンプーをすると、ツヤツヤでピカピカな髪の毛に仕上がります。
地肌や髪の毛がベトベトすることもなく、トリートメント効果を感じます。
オイルそのものをすりこむのに抵抗がある方は、こちらから始められては
いかがでしょう。
■オリーブ油
オレイン酸73%
リノール酸11%など
オリーブオイルの良さはご存知かと思いますが、オリーブオイルの石鹸は
私の家のお風呂の重鎮です。
どんなに魅力的な石鹸があっても、欠かすことができない石鹸です。
頼もしい洗浄力としっとり感をあわせ持ち、まさに重鎮という感じです。
【サヴォン・ドゥ・マルセイユ2.5kビッグバー】
この石鹸だけは欠かさないようにしています。体や髪を洗うだけではなく、
メイク用のスポンジの汚れや、シャツの襟や袖のよごれを落とす際も
使用しています。驚くほど気持ちよく汚れが落ち、衣類が傷むということが
ないので、安心して使うことができます。
また上履きなどズックの靴を洗う時は、古歯ブラシに石鹸を多めにこすり、
それでこすり洗いをすると、キレイに汚れが落ちます。
泡立ち・溶け崩れのなさ・しっとりな洗い上がりと、そして頼もしい洗浄力。
ご家庭に1個あると、何かと多用途な石鹸だと思います。
【オリプレ・ナチュラルソープ】
一番しぼりのExバージンオリーブオイルを使用しているといだけあり、
石鹸にオリーブの種子がちらほらしています。そこに手作り感を感じます。
オリーブオイルのみの石鹸とローレルオイルが入った石鹸がありますが、
ローレルオイル入りはシャンプーにおすすめです。髪の毛がツヤツヤします。
オリーブオイルのみの石鹸はしっとり過ごしたい冬の定番石鹸です。
■ホホバオイル
エイコセン酸69%
エルシン酸13%など
ホホバオイルはちょっと特殊なオイルで、エステルと呼ばれる植物性のロウです。
正確にはオイルではないという分類をされているだけあって、軽い使用感です。
ベタ付かず、ハンドクリーム代わりに薄く手に伸ばし、そのまま髪の毛に
撫で付けると忙しい朝のヘアワックスになってしまうのも嬉しいです。
また皮膚の皮脂量の調整を促す効果があるそうですが、ホホバオイルを石鹸に
した場合、単体では固まらず、石鹸にはなりにくのですが、他の油脂と
組み合わせ適度な割合で入れると、すばらしい使用感になります。
重くない保湿ベールを感じます。
【アスール・ホホバオイル・シリーズ】
ホホバオイルのすばらしい使用感とエッセンシャルオイルの効能を取り入れた、
マニアにはたまらないシリーズだと思います。
シリーズ化されているので、なぜならホホバオイルパワーに加え、プラスアルファの
効能を好みで選べるところに魅力を感じます。
無香料・無着色のピュア・ホホバはお子様にも使えるので、冬のカサカサ対策に
調度良いかと思います。
■マダミアンナッツオイル
オレイン酸58%
パルミトレイン酸21% など
また、マカダミアンナッツオイルは20歳過ぎると皮膚から減少していくと言われる
パルミトレイン酸が含まれる、個人的に大注目しているオイルです。
マッサージオイルとしても、オリーブオイルよりもしっとりしつつ重くないので、
キャリアオイルとしても優秀です。
石鹸にした場合、使用感は『モチモチ』の一言です。
洗浄力はオリーブオイルよりも若干マイルドで、冬の肌にぴったりだと思います。
【ルバンシュ化粧品 メイククレンジング】
この商品はとっても優秀な商品だと思います!!
なぜならばWebサイトにありますように、マッサージオイルとしても使用でき、
マカダミアンナッツオイルにオリーブオイル、コメ胚芽油が含まれています。
コメ胚芽油はさっぱりしつつも、ツルっとするので、まさに絶品ブレンドの
マッサージオイルとしても期待できそうですね。
スキンケアの基礎化粧品やハンドクリーム、石鹸に含まれるオイルについて
オイルの性質や感触から考えてみると、楽しいかもしれません。
若干、マニアックな楽しみ方かもしれませんが、肌に大切な油分を考えるとき、
少しでもお役に立てればと思い、書かせて頂きました。
ありがとうございます。
■#05精油(エッセンシャルオイル)の話
フランスでのマリウス・ファーブル社の工房見学旅行を終え、帰国後は以前にも
増して石鹸への興味とこだわりが増してしまいました。
自分への土産として購入した伝統のマルセイユ石鹸を何度も何度も、触っては
その匂いをかいでいました。
原料のオリーブオイルと灰などによる、しっとりした朝の森林を思わせる匂い。
確かにエッセンシャルオイルやフレグランスオイルで着香した石鹸は、良い匂いが
しますし、『アロマテラピー』の効果があると思います。
無香料で木の成分を含まないマルセイユ石鹸のどこに、癒しの元があるのか
ちょっと考えてみました。
正しい精製方法で搾った新鮮なオリーブオイルや、パームオイルはさほど匂いは
ないのですが、ココナツオイルが未精製のものならば甘いココナツの匂いが
うっすら残ります。
それに地中海の澄んだ海水と何やら神秘的な響きのバリラ海草の灰・・・。
と考えていくと、このアロマテラピー効果すなわち『何だか落ち着く匂い』は
原材料が『天然』であることに起因しているのだと思わずにはいられません。
私はどちらかというと、無香料より『何だか落ち着く匂い』や良い匂いがする石鹸の
方を好んで使います。ただ人工的でトゲのあるような強い匂いは苦手です。
アロマテラピーどころか、苦痛や不快を感じてしまいます。
天然=自然な香りは人を癒し、前向きな気持ちにさせてくれるように思います。
アロマテラピーの定義は環境の変化に応じて体の機能を調整すること(恒常性)を
維持したり高めることを目的とした自然療法とあります。
私は『香りで気を充実させることで、体を元気にすること』と単純に捉えていますが、
間違ってはいないように思っています。
アロマテラピーのメカニズムは、芳香成分(香り)を鼻や口から吸い込むと、香りが
脳に伝達され様々な生理反応や心理反応が起こし、各機能の調整をおだやかに
行うところにあるそうです。
また肌や髪の毛から取り込むと皮膚やリンパを経由し、芳香成分が血液の流れと
共に全身に運ばれ、細胞レベルから活性化させるそうです。
アロマテラピーを楽しむ場合は、多かれ少なかれ体に影響するものなので、
専門著書などを読みながら試されることをお勧めします。
バスタブに精油を落としたり、アロマポットを使って芳香浴することも好きですが、
やはり大好きな石鹸でアロマテラピー効果を取り入れられたら、うるおい補充とと
芳香浴も同時にできるという一石二鳥のように思います。
前置きが長くなってしまいましたが、天然素材(精油など)の香りは気持ちと体を
元気にしてくれるということと、石鹸にそういった香りがあるとお得な気分になると
いうことです。
石鹸の着香はもちろんアロマテラピーでつかわれる精油(エッセンシャルオイル)と
フレグランスオイルには、芳香成分が天然か人工かという違いがあります。
フレグランスオイルの価格は精油より求めやすく設定されており、品物によっては
天然の芳香成分を含むものもあります。やはり精油のような効果は期待できない
ようです。しかし。使用するにあたり、精油は体調や持病によって使えないものも
あるので、その代用品としては活躍してくれそうです。
その精油の品質なのですが、実はとっても注意が必要です。
同じ種類の精油であっても数百円から数千円と価格が異なることが多いです。
これは品質の目安として見ることができます。原料となる植物や抽出方法、
手元に届くまでの保存コストや販売コストによって価格が設定されるからです。
低価格のものはコストがあまりかからない農薬や化学肥料で育った原料を
使っている、アルコールで希釈している、合成の香り持続成分を添加されている
とは言い切れませんが、ほとんどの場合は品質保証書がついていません。
やはりここでも『信頼できるメーカーまたはブランドのもの』であることが重要かと
思います。
保証書があり、価格が高いものであっても保証書が偽造されたものである可能性が
あるからです。つまり使用する本人が安心して使えるかどうかが重要だと思います。
同じメーカーのものであっても、植物からオイルを搾取する順番によりグレードが
分けられ、価格が異なるものもあるので、ますます迷ってしまいます。
信頼できるとメーカー・ブランドの商品であることが第一ですが、品質をある程度は
確認できるポイントがあります。
1.保証書がついている
2.原産国、抽出部位、成分、抽出方法などがビンや保証書に記載されている
3.容器が遮光ビンであり、中には1滴づつ落ちるドロッパーがついている
このようなポイントを精油を選ぶ際の基準にして頂くと、大切に製造・販売されて
いないと推測される商品がお分かり頂けると思います。
とても高価なことで知られるローズの精油は、その1滴にローズが約50本必要
とされるといいます。反対に果物の皮から採られる精油は、光毒性があるものも
多いのですが、割とお求め安い価格で販売されています。
精油の種類によって、もともとの価格が違うものもありますのでご注意を!
どうか良質な精油で着香された本当に良い石鹸を使ってみて下さい。
特に気分が沈みがちな時は、おいしい食べ物以上に元気をくれることもあります。
勿論、無香料の森林浴気分になれるマルセイユ石鹸もおすすめです。
体調に関わらず気軽に使えるところも私がマリウス・ファーブル社のマルセイユ石鹸を
常備している理由です。
想像してみて下さい。
早朝に森林の小道を歩くと、澄んだ空気はまだ露の水分を含んでいます。
ゆっくり呼吸をすると木の匂いや、土の匂いを感じます。葉の上では露きらきらと光り、
見ているだけで気分が落ち着いてきます。
この無香料のマルセイユ石鹸にはっきりとアロマテラピーの効果があると感じます。
ずっと思い悩んでいた事がいかに些細か思い直すこともあります。
そんな森林や朝露を思わせる匂いが、無香料のマルセイユ石鹸にあるのです。
(ビッグバーを切り分ける瞬間、きこりの気分も味わえます)
1日の始まりのお風呂にも終わりのお風呂にも、森林浴効果を試してみて下さい。

■#04 港町マルセイユ
当初の予定では、マルセーユ・プロヴァンス国際空港からまっすぐに憧れの
地・マルセイユに行く予定でしたが、面白そうな状況に流されやすい私は、
たくさんの寄り道をしていました。
やっとのこと、港町マルセイユに辿りついたのですが、想像とずいぶん違って、
驚いてしまいました。
魚市は活気があって、何時間でも見学していたい気持ちなりました。
様々な国籍の人たちで賑わう公園では、みんなが思い思いに過ごしている
のんびりとした風景が多く見られました。
ただ、右も左も分からない私のような日本人が一人で歩くのは、あまりお勧め
できないと感じたのも事実です。
Aubenasで出会った日本人のアドバイス通り、女性に限らず土地感や場慣れ感が
ない者の一人歩きは、それほど安全なものではなさそうだと直感で分かる場面と遭遇してしまいました。
マルセイユを一人で観光するならば、信頼できるガイドを雇ったり、
ツアーで回るなどの対策が必要だと思います。
しかし、そういう私は『表通りならば、一人で歩いても安全』という思い込みで、
Vieux Port 駅から徒歩8分ほどの市庁舎の裏手の地区(パニエ Panier 地区)を
目指して、どんどん歩きました。
途中、フランス語や知らない国の言葉で話し掛けられはしましたが、
どうにか無事にパニエ地区に到着しました。
パニエ地区にはたくさんの石鹸工房があり、お土産にと石鹸を売る屋台が
ひしめいていました。
立ち寄りたい気持ちを抑え、ずっとあこがれていたマリウス・ファーブル社の工房を
目指して早足になります。
しかし、寄り道好きな私は一つの石鹸屋台の前で立ち止まりました。
看板には『とてもナチュラルな本場のマルセイユ石鹸』と英語で表記されています。手にとって石鹸の外見を観察すると、残念ながらとても『ナチュラル』には見えませんでした。
女性観光客の獲得めあてか、色が鮮やかなピンクでした。
天然のクレイなどで石鹸に着色したとしても、こんなにあざやかなピンクには
なりません。匂いも人工的なバラのような匂いがしました。
確かにバラの精油はとても高価なので、石鹸に入れるには、もったいないのかも
しれません。
しかし、こんな石鹸の本場のマルセイユでも表記と内容が異なる石鹸が
『ナチュラル』なものとして平然と販売されていることに驚きました。
急いで、付近の石鹸屋台に駆け込んで確認したところ、マリウス・ファーブル社の
ような石鹸もあることにはあるのですが、観光客が喜ぶのか人工的な着色が
施されていたり、人工的な匂いが着香されていたりと、自然で本当に良いものでは
ないことは明らかでした。
そうした『加工』をなされた石鹸の方が、売れるというのは、残念でした。
やっと再びマリウス・ファーブル社の工房に向かいます。
小さな石鹸工房や石鹸屋台をぬけ、頼もしくそびえる市庁舎の裏に着きました。
寄り道ばかりしていて、だいぶ到着が遅くなってしまい、はやる心を抑えるのに
苦労しました。
観光客向けの工場見学として、詳しい解説などをしてくれるガイドこそ付きません
でしたが、時間をかけてゆっくりと工場を回ることができました。
この石鹸はこだわり商品研究所さんの商品説明にあるように、原材料は極めて
単純です。上質なオイルと水と苛性ソーダ。そして「バリラ海草の灰」。
それに地中海の海水です。海水は余った苛性ソーダや混入してしまった不純物を
塩析を丁寧に繰り返すことで取り除きます。
その原料のどれもがとにかく上質で、とても丁寧に作られています。
オリーブオイルで保湿と洗浄力、ココナツオイルで起泡力、パームオイルで固さと保湿を出すという、肌にやさいいだけでなく、大変バランスの良い石鹸です。
マリウス・ファーブル社のマルセイユ石鹸の使い心地が良いのは、
上質なオイルを絶妙であり伝統のバランスで配分し、丁寧な手作業で作り上げる
からだと改めて思いました。
石鹸が生まれる瞬間を見てみたい!と旅に出て、今こうして工場の見学に
立ち会っているのですが、とても長い時間をかけて作られるので、原料から石鹸として使える状態になるまでを『生まれる瞬間』とするのならば、とても立ち会うことなどできませんでした。
しかし、石鹸がそれはそれは大事に育まれている過程を、全てではありませんが、見学でき、職人の情熱の結晶としての石鹸に敬意を持つに至りました。
帰国後、工場見学の帰りに購入した石鹸を崇めるように、なでたり重さを手の中で
楽しんだりしているうちに、今度は石鹸の原料であるオイルや着香に使う精油に
ついて衝動的な知識欲にさいなまれるようになっていしまいました。
学生という身分をフルに利用し、例え1年や2年卒業できずに留年することも
厭わない覚悟もこの頃したように思います。

■#03 石鹸を捜し求めてフランス放浪1ヶ月
フランスのプロヴァンスといえば・・・。
オリーブオイル、ラベンダー、チーズなどが有名ですね。
石鹸も有名なのですが、オリーブオイルほどではないように思います。
しかし、私の目的は石鹸であり、オリーブオイルは石鹸の原料でしか
ありませんでした。
マルセイユ石鹸は多くの日本人がお土産にと日本に持ち帰りますが、
その石鹸を使いこなしてはいないような気がします。
例えば、入浴の際に全身1個の石鹸で済んでしまうことや、
洗濯の際に、首の周りにくるっと石鹸を塗っておけば、汚れがきれいに
落ちることを知らない方が多いように思います。
とてももったいないことだと思います。
異国で生まれ、日本にやってきたマルセイユ石鹸。
まさに今、マルセイユ石鹸が生まれる瞬間の目撃者になるため、
勢いまかせに関西国際空港を飛び立とうとしています。
日本を思いつきのままに飛び出し、マルセーユ・プロヴァンス国際空港に
到着するまでは乗り継ぎはあるものの、航空会社が安全に送り届けて
くれますが、そこからは当たり前ですが、ガイドもいない一人旅であり、
計画性も皆無につき、泊まるところは当然決まっていない上に、
目的地である石鹸工房までの行き方すら分かりませんでした。
そこで私は空港を出ると、乗り合いバスのようなものにのり、言葉をうまく
伝えることや理解することができなのですが、身振り手振りで石鹸工房へ
行きたいという意思だけは主張しました。
延々バスに揺られて到着したのは、何だか素敵なAubenasという所でした。
!!!マルセイユではない!!!しかも日付変わってる!!
!!ここはどこでしょうか???!!
この時の驚きはまさに腰が抜けた!という不意をつかれたものでした。
石鹸工房へ行けないという絶望と紙一重の純粋なショックでした。
そもそもの計画性のなさなどは反省しようという気持ちすら持たず、
このAubenasから石鹸探索の旅を始めようと、絶望を打ち消して前向きに
とぼとぼ歩き出しました。
スーパーのようなところで偶然にも日本の大学生旅行者に会い、
その旅行者と同じ民宿に泊まり、野宿を回避することができました。
これは後になってから、とても幸運だった出来事だと思いました。
石鹸工房の場所や行き方なども教えてもらいました。
観光パンフレットに詳細に記載されていたので、私にあと少しの計画性が
あれば、もう少しスムーズに石鹸工房へたどり着けたかもしれません。
このAubenasというところはArdeche県の南にある小さな村です。
Ardeche県は南にGard県、東にローヌ河を線としてDrome県と隣り合う村です。
『Ardeche』とは昔、川の名前だったそうです。
アルデッシュ渓谷は有名ですが、あまり知られていません。
特に【石鹸欲】を満たしてはくれない地域だったので、詳細は省きます。
何となく観光をして1週間ほど過ごしました。
Drome県にMontelimar(モンテリマール)とNyons(ニョンス)、
地方都市にあたるValence(ヴァランウ)があります。
城跡や教会などが有名ですが、あまり見て歩きませんでした。
Montelimar(モンテリマール)はヌガー(アーモンド、ピスタチオ、はちみつ
などで作られるお菓子)で有名です。
余談ですが石鹸にアーモンドの粉末ピスタチオの粉末、はちみつを
入れ込んで作ると、それぞれ特徴のあるしっとり石鹸になります。
(ご当地マルセイユ石鹸はそういったものを混ぜてはないようですが)
そんなことを考えて、Montelimar(モンテリマール)自慢のアーモンド畑と
ラベンダー畑を眺めていました。
次にNyons(ニョンス)は、Montelimar(モンテリマール)の南に位置し、
オリーブの生産で有名な村です。
(石鹸にどんどん近づいてきているような気がして、わくわくします)
Montelimar(モンテリマール)からバスで移動です。
バスはCotes du Rhoneのワイン畑を越え、オリーブの村に着きます。
ここで特筆すべきは、プロヴァンスのイメージそのものの風景です。
古いレンガ焼きの街並みに大きく降り注ぐ太陽といったイメージ。
その街並みを囲むような広大なオリーブ畑。
オリーブオイルがおいしくて健康的な味がするのは、生育環境に
よるものだと実感しました。
そして、待ちに待った(観光をしていたら遠回りしてしまった)マルセイユです。
マルセイユは港町で、異国(特に日本の)女性が一人で歩き回るなんて、
ちょっと考えられないほど治安に問題があります。
街中どこでもそうということではなく、至る所に『一人で歩き回ってはいけない
スポット』のようなものが点在していました。
そんなマルセイユですが、まだまだ長くなってしまいそうなので、
次回に回させて頂きます。

■#02 自分の頭と足だけが頼り
時は1999年の終わり。
「サボン ド マルセイユ ワイルドローズ」ですっかり石鹸の虜となった私は
自然・天然と名のつく石鹸を手当たり次第に買い漁り、使ってはその使用感に
愕然とするばかりでした。
こんな顔が乾燥するなんて!
何だ!?この人工的な香りは!!天然であるはずがない!!
その原因を探るべく、自然・天然をキャッチにした●●ショップに
足しげく通い、店員の方に質問・詰問を繰り返しました。
しかしピン!とくるような回答は得られず、化粧品を進められる始末。
『石鹸で洗顔して乾燥してしまうなら、こちらを使えば・・・』
私が本当に知りたいのは、上記のマルセイユ石鹸は顔が乾燥しないのに、
どうしてこの天然や自然と表示され、あくまで肌に良さそうな石鹸は
乾燥するのかということにつきるのです。
そしてどうしてその石鹸で洗髪すると、髪がボサボサでゴワゴワになる
のかということです。
店員さんがダメならば、直接メーカーに問合せよう!と製造メーカーや
販売メーカー、または輸入元などに問合せを開始しました。
店員の方よりは多少、知りたい情報を得ることができました。
しかし、どのメーカーも自分のところで作ったり売ったりしている商品を
悪く言うことはありません。これは当然だと思います。
私は『どうして』を完全に解決することができず、もどかしい思いを
するしかありませんでした。
とある勇気ある?善意のメーカーの広報の方が、石鹸は『純せっけん』と
『化粧石鹸』があると教えてくれました。
そのメーカーで取り扱っているのは、『化粧石鹸』であり、
これは石鹸素地に香料・保存料・顔料を練りこんだものだから、
より肌に優しいのだと言っておりました。
肌に優しいかどうかは、使っている私が一番良く分かっていて、
『絶対に優しいわけがない!』とは思いましたが、石鹸は2種類あることが
分かりました。詳しくは#02に書かせて頂いた事です。
合成界面活性剤と天然の界面活性剤の違いです。
これは私は某メーカーの方からヒントをもらい、図書館でつきとめた、
驚きの石鹸の真実でした。
そこまで分かった私は、石鹸を購入する際に、商品のパッケージなどに
記載されている成分を表示を必ず一読してから買うようになりました。
自分が怪しいと思った成分、刺激になるであろう成分が含まれている商品は
買わない。
メーカーからの情報は限られている。
メーカーにとって都合が悪そうな情報は、開示することは少ない。
だったら表示成分を見るしかない。
それも全部記載されているかは分からない。
肌に優しくなさそうな成分は、『●●してはいけない系』の文献で
詳細な情報を入手する事ができる。
優しい石鹸はどんな石鹸か分かったら、今度はその石鹸の
生まれる瞬間を見てみたい!
期末試験まで2週間の私は、マルセーユ・プロヴァンス国際空港行きの
チケットとパスポートを握りしめていました。
目的はマリウス ファーブル ジューン社の石鹸工房です。
もちろん、自分が卒業できなくなることなど思いもせず、
アポイントなしで当時若かった私が体当たり取材をすることの迷惑など
考えもしませんでした。
ただひたすらマルセーユ・プロヴァンス国際空港とマルセイユ石鹸に
限りない憧れと期待だけが無限に広がっていました。(自分の中で)
次回は期末試験を受けずに石鹸の旅にでかけた珍道中を書かせて頂きたいと
思います。

■#01石鹸とは何か??
まず、石鹸とは何か?
辞書にはたいてい、下記のように定義されています。
『洗剤の一種で、ふつう、ステアリン酸・パルミチン酸など高級脂肪酸の
ナトリウム塩またはカリウム塩をいう。
動植物の油脂を苛性(かせい)アルカリで鹸化するか、脂肪酸をアルカリで
中和して作る。
水溶液は水の表面張力を低下させ、起泡・乳化力をもち洗浄作用を示す。
広くは金属石鹸なども含めていい、脂肪酸・樹脂酸・ナフテン酸などの金属塩の
総称である。洗濯・化粧・薬用・工業用などに使う。シャボン。』
これじゃ何のことか分かりませんよね?
(これより私の個人的経験や主観にもとづく感想が含まれております)
簡単に石鹸を定義させて頂くと、石鹸は油脂(酸)と苛性ソーダ(アルカリ)の間で
起きる化学反応より作られる界面活性剤です。
この一連の酸とアルカリの化学反応を一般に「鹸化」と呼びます。
鹸化が一通り落ち着く頃に、石鹸として世に送り出されます。
普段、『界面活性剤』は洗剤に含まれており、肌のバリアを壊すなんて事は
耳にすることも多いかと思いますが、石鹸も立派な『界面活性剤』なのです。
そもそも『界面活性剤』とは「水」にも「油」にも溶ける性質を持つ物質を言います。
石鹸や洗剤で汚れを洗浄するということは、『界面活性剤』で油と水を結合させ、
汚れ(油)や皮脂を水に流して洗浄するということなのです。
化学的には界面活性剤の分子は油になじみやすい(親油基)と、
水になじみやすい(親水基)を持っているのです。
そして、一般に使用されてる石鹸は、大きく分けて「石鹸」と「洗剤」の2種類に
分類できます。
「脂肪酸ナトリウム」か「脂肪酸カリウム」の成分で汚れや皮脂を落すのが
「石鹸」であり、それ以外の成分で汚れ落すのが「洗剤」ということです。
石鹸は、『天然の界面活性剤』です。
天然の界面活性剤は、苛性ソーダと油脂からできる脂肪酸ナトリウム
「固形石けん」と、苛性カリと油脂からできる脂肪酸カリ「液体石けん」の
2つだけです。
それ以外のもは、石油から作られた「合成界面活性剤」で、つまり「合成洗剤」の
ことです。
天然界面活性剤(石鹸)は皮脂を取りすぎることもなく、また石鹸によっては
石鹸に含まれる過剰油脂がしっとりと肌を包んでくれます。
過剰油脂を含まない石鹸であっても、洗剤に比較し、とてもやわらかいのです。
反対に、合成界面活性剤(洗剤)は特筆すべき洗浄力、脱脂力、乳化力、
吸着力、浸透力、殺菌防腐力、たんぱく質溶解作用が確認されるといいます。
確かに皮脂が抜けきった上に、不自然な違和感を感じるシットリ感。
個人的な使用感ではありますが、私ははっきりとその違いを感じます。
ここで注意して頂きたいのが、一般的に市販されている固形の『石鹸』には
様々な化学添加物が含まれており、それらは合成洗剤の一種であることが
多いのです。
石鹸であっても『合成界面活性剤』でもあるのです。
そこで、本当のせっけんを区別するために『純せっけん』という言葉があります。
純せっけんとは、純せっけん成分が 97 %以上の石鹸をいいます。
こちらは『天然の界面活性剤』を含む石鹸です。
ですので、市販の石鹸(例え表示名が植物性を謳う名称でも)をお買い求めに
なる際には、『純せっけん成分が 97 %以上』かご確認下さい。
また、表示されている成分の中で、「石ケン素地」「カリ石ケン素地」という表記は
石鹸を意味します。
その他にも紛らわしい表記が多々あります。
石鹸とはまったく別物の石鹸風石鹸にお気をつけ下さいね!!
ちなみに天然界面活性剤(石鹸)の品名は、下記の通りです。
味気なさにびっりされるかもしれませんが・・・。
『●●ソープ』のように、洗い上がりのすばらしさを予感させてくれる品名では
決してありません。
品名:洗濯用石けん
品名:台所用石けん
これ以外の品名の石鹸に見える界面活性剤は、どうやら洗剤であることが
多いようです。
以上が石鹸と洗剤の違いについての解説です。
あまり楽しい内容にはなりませんでしたが、石鹸と洗剤の違いは初めの一歩。
最後までお読み頂きまして、ありがとうございます

■#00 そして石鹸に開眼する
時は1999年。
私は大学生でした。
食べるもの、身の周りのもの、肌に触れるもの。
特に何も考えず『はやっているから』、『いい香りだから』という理由で、
そこに含まれる成分を気にすることもなく、選び、使っていました。
特に意識もせず、疑問も持たずという感じで、ただ漠然と消費していました。
そんな毎日を送っている私が、突然、1個の石鹸に180度以上意識を
変えられてしまいました。
私の中の石鹸の常識を大きく覆す、無骨な石鹸でした。
白くてつるつるで、芳香を放つ上品な石鹸とは縁遠い、茶色で緑がかった
その石鹸はマリウスファーブル社の「サボン ド マルセイユ ワイルドローズ」と
いう名前で、無骨な風貌に少しだけバラの香りがしました。
恐る恐る泡立てネットを使って、洗顔すると、ふわふわでサクサクな軽い泡が
たっぷり立ちました。
そっと顔に撫で付けると意外に肌当たりがなめらかで、クリームのような
感触でした。
頑固そうでゴツゴツした印象の石鹸が、こんなに力強くも優しい洗い上がりに
なるなんてと、とても驚きました。
いつも気付かないふりをして使い続けていた、合成の洗顔料のペットリした感触が
まったくなく、しっとりと潤う肌に感動しました。
洗顔だけではもったいない!と体に使えば、いつものボディシャンプーを使った
後のように『ぬっとりするのに、乾燥する』という事もなく、スルスルした手足を
何度も頬ずりしてしまうほどでした。
それからすっかりこのバラの香りの無骨な石鹸の感触の虜になりました。
この石鹸以外の世界中の石鹸に果てしない憧れを抱くようになりました。
虜になってしまうだけではなく、はまればはまる程、知りたいことが溢れ、
どうしようもないくらいに知識欲が騒ぎ出しました。
マルセイユ石鹸とは?そもそも石鹸とは?界面活性剤とは?について、
大学を4年で卒業できないほど、調査・研究に没頭しました。
(結局5.5年通うことに・・・これは余談です)
今日現在のように、インターネットで検索をすれば、ある程度の知りたいことが
調べられるという時代ではなかったので、あまりインターネットは頼りにならず、
文献だけでは情報が古く、満足ゆくものではありませんでした。
結果、自分の足で本物のオイルを求めて、精油を求めて、石鹸を求めて、
アルバイトで資金をつくっては、地中海沿岸の町へ繰り出しました。
そんな私と石鹸とその周辺のお話しをさせて頂こうと思います。
