【 皮脂を補うスキンケア 】 皮脂とは? 皮脂について考えてみました。

◆足りなくなった皮脂を補う

「足りなくなった皮脂を補う」ことが「スキンケアの基本(のひとつ)」と考え、「皮脂にある成分」を補ってあげる。このテーマを考えています。

皮脂とは?皮脂について考えてみました。

皮脂

スキンケアを考える上で「皮脂」のことを把握する。


スキンケアを考える時、重要な役割を果たしている皮脂(膜)。
皮脂は人の身体の恒常性を保つために備わっている身体機能のひとつです。

人の肌(身体)の水分を保つために、重要な働きをしているのが、以下の3つです。

●皮脂膜(肌の表面に存在)
●NMF(天然保湿因子:角層の細胞の中にあり水分を保持する役割)
●細胞間脂質(各層の細胞の間を埋める脂質)

この中の皮脂(膜)は、皮脂腺からの「皮脂」と、角質細胞由来の「表皮脂質」、汗腺からの「汗」という分泌分が混ざり合ってできます。

皮脂(膜)は、「天然のクリーム」と呼ばれます。この表現は、皮脂がクリーム(コスメ)と同じ役割をする、というように聞こえるかもしれませんが、別の表現をすると、コスメは「皮脂を補う、もしくは皮脂の代わりの役割を果たすもの」という考え方ができるかもしれません。

おそらく、本来人間はコスメの存在がなくとも、機能的に問題がないように「皮脂」というものが存在しているはずです。
ただ、加齢による機能低下、環境、季節などの要因によって、皮脂の分泌が低下するなどの問題が発生し、コスメという皮脂などの機能を補うものが必要となる、ということではないかと思います。

この皮脂についてまとめてみました。
スキンケア商品を選ぶ上でも、参考になる情報です。皮脂を知ることで、どんなコスメを選べばいいのか、考え方がわかるようになります。

※この記事は、皮脂、脂質情報、事実の積み重ねから判断した、仮説推論が多く含まれます。そのため「思います」「推測します」「考えられます」「かもしれない」で閉められる文章が多いです。同意していただける内容も多いと思います。記事は、新しい情報を入手するたびごとにアップデートされます。

皮脂の主な役割をまとめてみます。

●身体の水が失われるのを防ぐ。水分の蒸散を防いで、皮膚の水分を維持する。(オイルシール効果)

●角質細胞間脂質の役割を補強する。

●皮膚を柔軟にする。

●皮膚表面を弱酸性(PH5~7)に保ち、雑菌の繁殖を防ぐ。

●外部の細菌や有害物質が、身体へ侵入するのを防ぐ。

●紫外線を防ぐ。SPFは3~4程度あるとされる。

●皮膚常在菌のエサになる。

他にも役割があると思います。

ちなみに、角質が厚い部分は皮脂も少ないとされます。手のひら、足の裏かかとなどは皮脂が少なく、だから長時間風呂に入っていたりすると、ふやけるのです。この事実からもハンドクリームの存在意義が分かる気がします。

では、皮脂の構成成分を見てみましょう。

皮脂の構成成分

・ウィキペディア
・わたしが勉強したナチュラルライフビューティーアカデミーのテキスト
化粧品成分検定公式テキスト(一般社団法人化粧品成分検定協会編 実業之日本社)

から、皮脂の構成成分をそれぞれ引用します。

  ウィキペディア NLBA 化粧品成分検定
公式テキスト
トリグリセリド 35%以下 40.5% 41%
ワックスエステル 25% 26% 25%
スクワレン 15% 12% 12%
遊離脂肪酸 13%以上 17% 16.4%
コレステロール 7% 1.5% 1.4%
コレステロールエステル (上と合わせ) 3% 2.1%
5%未満   2.2%


それぞれ数字が少しづつ違いますが、誤差の範囲内と考えても良いと思います。
おおよそこのくらいと理解することができます。
では、それぞれの構成成分の説明をします。

皮脂の構成成分の説明

トリグリセリド


皮脂の成分の中で、約40%程度と、一番多いのがトリグリセリドです。中性脂肪とも言います。グリセロールに3本の脂肪酸が結合された、いわゆる脂肪のことです。

厚生労働省のe-ヘルスネットによると、このような説明になります。
「中性脂肪は肉や魚・食用油など食品中の脂質や、体脂肪の大部分を占める物質です。単に脂肪とも呼ばれますが、脂肪酸が3本、グリセロールと呼ばれる物質で束ねられた構造をしており、中性を示すことからこの名で呼ばれています。」

このトリグリセリドが、皮脂の成分としては一番多いのです。トリグリセリドには、それぞれ3本の脂肪酸が結合されていますが、結合している脂肪酸の種類は、トリグリセリドひとつひとつ違います。飽和脂肪酸と不飽和脂肪酸がそれぞれ何本かづつ結合されています。

皮脂腺から分泌される分泌物の段階では、トリグリセリドの割合は約60%です。
このトリグリセリドを皮膚常在菌がリパーゼで加水分解することで、遊離脂肪酸になります。(下を参照。)
また、トリグリセリドは遊離脂肪酸とグリセロールに分解されます。グリセロールはいわゆるグリセリンのことで、保湿の役割を果たします。

皮脂の中でトリグリセリドが一番多いことから考えられるのは、美容オイルを肌に塗布することは、トリグリセリドを塗布することになりますから理にかなっている、ということです。美容オイルの構成要素である油分の構造はトリグリセリドになります。脂肪酸の割合が違うだけです。

ただ、トリグリセリドは、皮脂の40%前後です。そして脂肪酸組成があります。美容オイルの内容や量によっては、このバランスが大きく変わることになります。美容オイルの選択や量を考える必要があります。

ワックスエステル


約25%程度がワックスエステルです。ワックスエステルとは蝋(ロウ)のことです。

ウィキペディアから引用すると、
「ワックスエステル(Wax ester)とは、蝋(ワックス)の化学的な表記。炭素数10~12以上の長鎖脂肪酸と、同じく8以上の脂肪族アルコールがエステル結合した、長い鎖状の分子構造を持つ。」

油ではないですが、脂肪酸をもとにつくられた成分となります。ワックスエステルが2番目に多い理由は、酸化しにくいということがひとつの理由です。ワックスエステルは、酸化しにくい成分です。ワックスエステルが25%程度存在することで、皮脂が酸化しにくくなります。

そして、バリア機能の強化、ハリや弾力のアップという機能もあります。

ワックスエステルは、食事から補給できる成分ではないため、補うためには塗るしかありません。
ワックスエステルは、ホホバオイルの成分としても知られています。

遊離脂肪酸


約15%程度が、遊離脂肪酸。
これは、パルミチン酸、ステアリン酸、リノール酸、オレイン酸など、脂肪酸単体のことです。

トリグリセリドを皮膚常在菌がリパーゼにより加水分解して、遊離脂肪酸となります。
トリグリセリドは中性ですが、遊離脂肪酸は、弱酸性を示します。これが皮膚が弱酸性である理由です。
皮膚表面が弱酸性(PH5~7)になることで、雑菌の繁殖を防ぐことができます。

※遊離脂肪酸は、長鎖炭化水素とカルボン酸がくっついている構造です。このカルボン酸が酸の特性を持っています。このため遊離脂肪酸があることで皮膚が弱酸性になります。

皮膚常在菌の中でも、善玉菌と呼ばれる表皮ブドウ球菌やアクネ菌は、弱酸性の環境を好むようです。また、悪玉菌とよばれる黄色ブドウ球菌は、アルカリ性の環境を好むようです。

人間の表面(皮膚・消化管)には、人の細胞数よりも多い膨大な微生物が住んでいます。人間と微生物は共存して身体の恒常性を保っています。
微生物は、生き物で体外に存在しますからエサが必要です。腸内細菌にとってのエサはマック(MACs=Microbiota-accessible carbohydrates)と呼ばれます。水溶性食物繊維や発酵食品です。(もしくは腸壁)

皮膚常在菌にとってのエサは、皮脂の成分(トリグリセリド他)のように思えます。(他にエサになるものが見当たらないため)
腸内細菌は、マックをエサにすることで短鎖脂肪酸を産生します。皮膚常在菌は、トリグリセリドを遊離脂肪酸に分解(産生)します。トリグリセリドを皮膚常在菌のエサと言っていいのかわかりませんが、今後勉強をしていきたいと思います。

この遊離脂肪酸の各脂肪酸の割合は下に書きます。

スクワレン


12%程度が、スクワレンです。スクワレンは、ヒトの身体のいろいろな組織中に存在する「不飽和炭化水素」です。
スクワレンの役割は、ウィキペディアによると、「皮膚を柔軟にし、肌に水分を保ち、また基礎研究からは抗酸化作用を持ち、フリーラジカルによる損傷を減らすといった可能性がある。」とのこと。

このスクワレンが皮脂に含まれる動物は少ないようです。皮膚に毛が生えていない人間だから必要となった成分とも考えられているようです。ということは、毛の代わりに外部からの外敵・異物から守る目的を果たしている、と考えられるかもしれません。スクワレンの抗酸化作用というのがそれにあたるのかもしれません。

スクワレンは、酸化しやすいため、水素を添加することでスクワランになります。身体の中でもスクワランを生成するようです。スクワランは水をはじく効果が高い成分です。オイルシール効果が高いということです。つまり身体の水分の蒸散を防ぐための、特に強い役割をはたしている成分と考えることができます。

コレステロール


コレステロールは、スクワレンから合成されます。
コレステロールエステルは、スクワレンと脂肪酸が結合したものです。

遊離脂肪酸の構成成分


皮脂の構成成分である「遊離脂肪酸」の構成成分です。
まずは、日本化粧品検定協会顧問の白野実氏のセミナーに参加して教えていただいた遊離脂肪酸の構成成分です。

パルミチン酸・・・約 27%
オレイン酸 ・・・約 22%
ステアリン酸・・・約 16%

リノール酸 ・・・約 13%
パルミトオレイン酸・・・約 8%
ミリスチン酸・・・約 2%

その他   ・・・約 12%

※日本化粧品検定協会顧問 白野実氏のセミナーより

つぎに、ウィキペディアからの引用です。

脂肪酸の内訳では、飽和脂肪酸より不飽和脂肪酸の方が多く、特に炭素が16個か18個の、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、パルミチン酸、サピエン酸、パルミトレイン酸。

※ウィキペディアより

飽和脂肪酸より、不飽和脂肪酸の方が多いとあります。極端に違わないようですが、そのようです。この遊離脂肪酸の配合比率に、不飽和脂肪酸が半分以上あるということは、酸化するということです。ここからも皮脂は酸化するということがわかります。

ちなみに飽和脂肪酸は、パルミチン酸、ステアリン酸。パルミチン酸は、身体の中で最も多い脂肪酸ですから、パルミチン酸が27%というのは理解できます。
不飽和脂肪酸は、オレイン酸、パルミトオレイン酸、リノール酸になります。オメガ9系、オメガ7系、オメガ6系脂肪酸です。

この中でリノール酸は必須脂肪酸ですから、食べ物からしか取り入れることはできません。(他は体内で合成できます。)食べ物からしか取り入れることができない成分が皮脂に含まれるということは、皮脂は食事の影響を受けていることになります。

リノール酸と同じく必須脂肪酸であるα-リノレン酸(オメガ3系脂肪酸)は、この中にはありません。食べる量が少ないために、「その他」の中に含まれているのでは?α-リノレン酸は酸化しやすいため、皮脂には向かない気もしますが、オメガ3とオメガ6の脂肪酸の理想的な比率は、1:2ということを考えると、リノール酸が13%含まれているのであれば、αリノレン酸も6%程度は含まれていても良いはずです。

その後、いろいろなデータの中にも、やはりα-リノレン酸は皮脂にはほとんど含まれないということを知りました。つまり、酸化しやすいα-リノレン酸は皮脂には入ってこない機能になっているようです。身体は、良くできています。

遊離脂肪酸は、皮脂腺から分泌されたトリグリセリドを皮膚常在菌が分解して産生されます。ということは、トリグリセリドに結びついている脂肪酸の種類によって、遊離脂肪酸の配合量が変わるのだろうことが推測されます。トリグリセリドの脂肪酸の割合は、食事の違いもありそうです。

補足ですが、人は腸内細菌を意識して、腸内細菌のエサであるマックを食べた方が良いとされます。皮脂(トリグリセリド他)が皮膚常在菌のエサであると仮定して、その皮脂(トリグリセリド他)は食事の違いで構成比率が変わることが推測されるため、「皮膚常在菌を意識して食事を選ぶ」という考え方ができるかもしれません。食事によって皮膚が変わる、ひとつの理由かもしれません。何を食べればいいかは、今後の勉強で。

皮脂の酸化、汚れ


皮脂は、汗腺からの汗の成分が含まれますから、水分が存在します。水は腐敗します。
また遊離脂肪酸の構成成分に不飽和脂肪酸が半分以上含まれますから、酸化もします。
遊離脂肪酸の比率を見ると、トリグリセリドの脂肪酸にも不飽和脂肪酸が半分以上含まれることが推測されますので、やはり酸化します。
また、ホコリ、チリ、メイクの原料などの汚れと混ざり合います。

これらの事実から考えると、時間が経った皮脂は、酸化されていて、汚れも混ざっているため、落とす必要がある、ということがわかります。

皮脂は人間の身体にとってとても大切な役割を果たしますが、酸化した、汚れた皮脂が長時間肌の上に存在していることがトラブルの原因となるのは、理屈として理解できます。汚れは適切に取り除き、そして補う必要があるということが分かります。

皮脂を補う


上の内容で、皮脂は汚れるため、適切に取り除き、補う必要があると書きました。

取り除くのは、石鹸など界面活性作用のある洗浄剤で取り除くことになると思います。
取り除く際は、肌に刺激が少ない方法で取り除いた方が良いと思われますが、これに関しては別の機会にまとめたいと思います。

「補う」に関してです。

おそらく理想は

・例えば石けんで洗って、古くなった皮脂を取り除いた後、
・皮膚がアルカリ性に一時的に傾いた状態になった時、
・自らの皮脂腺と汗腺から必要充分な量の皮脂や汗が分泌され、
・常在菌による遊離脂肪酸への分解が行われ、
・取り除かれた皮脂が補われ、皮膚が弱酸性になることです。(アルカリ中和能)

つまり、人間の身体の自然な機能で元の状態に戻すことが理想的なはずです。

ただ、加齢や季節などの要因によって皮脂の分泌が少ない状態があるかもしれません。
例えば女性の場合、20~30才をピークに皮脂の分泌量は減り続け、50代ではピーク時の約半分程度になるようです。

その場合、コスメ(例:美容オイル、クリーム)で補ってあげる必要があると思います。

取り除かれた皮脂をコスメで補うわけですから、本来人間の機能として存在する「皮脂」に近い成分を補ってあげる、と考えるのが、理にかなっているように思います。
「もともと皮脂の中にあるもの」を補ってあげる、ということです。
このような理由で、皮脂の構成成分を知ることが、コスメを選ぶ際の参考になると思います。

では、皮脂を補うコスメとは

では、皮脂を補うコスメは何が適切?ですが、皮脂の構成成分を参考に、それぞれどのオイルに入っているか考えてみます。

ステアリン酸

→シアバターなど

パルミチン酸

→馬油など

オレイン酸・・・保湿の柱

→オリーブオイル、ツバキ油、馬油など

パルミトオレイン酸・・・アンチエイジングの要

→マカデミアナッツオイル、馬油

リノール酸・・・保湿の柱

→いろいろなオイルに含まれています。

ワックスエステル

→ホホバオイル

スクワレン

→スクワラン

このような感じでしょうか。

これらの中で、適切なオイルを取捨選択し、選ぶと良いのではないかと思います。
1種類のオイルではなく、いくつかのオイルを混ぜて使うのが良い気がします。

別記事でまとめてあります。


▷【皮脂を補うスキンケア】ホホバオイル


▷【皮脂を補うスキンケア】スクワラン


▷【皮脂を補うスキンケア】馬油


▷【皮脂を補うスキンケア】美容オイル(トリグリセリド系)


※補足です。

美容オイルは、精製されていないオイル、精製されているオイルが存在します。
皮脂の配合成分のことだけを考えると、脂肪酸であったり、ワックスエステルであったり、スクワランであったりを組み合わせるわけですから、その成分単体の精製オイルで良いと考えるのが適切に思えます。

別の考え方で、例えばホホバオイルのワックスエステル部分ではない微量原料などが肌に良い働きをするものがあります。ここに注目する場合は、精製されていないオイルが良いかもしれません。
ただし、オイルによって違いますし、塗布する人によっても個人差があると思われます。


※参考文献、情報収集

この記事は、以下の会や、本などで情報収集、勉強したことを参考に書きました。

Natural Life & Beauty Academy
一般社団法人日本リポニュートリション協会
日本脂質栄養学会
脂質栄養学(菅野道廣 著:幸書房)
化粧品成分検定公式テキスト(一般社団法人化粧品成分検定協会編:実業之日本社)
化粧品成分ガイド(宇山侊男 著、岡部美代治 著、久光一誠著:フレグランスジャーナル社)
皮膚はすごい(傳田光洋著:岩波書店)