脂肪酸ごとの脂質の摂取量目安

脂質

脂質の1日の摂取量を脂肪酸ごとに数字にしてみました。

「脂質全体」の摂取量上限


1日2000キロカロリー摂取とすると脂質の推奨摂取量上限である30%は、600キロカロリーです。
脂質は1gで9キロカロリーですから、9で割ると66gという計算になります。
これが、上限です。下限は、44gです。
44~66gの間で脂質を食べるということになります。

厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2015年版)」エネルギー産生栄養素バランス
https://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10901000-Kenkoukyoku-Soumuka/0000083872.pdf

「飽和脂肪酸」の摂取量上限


「日本人の食事摂取基準」によると飽和脂肪酸は、動脈硬化性疾患、特に心筋梗塞の発症及びに重症化予防の観点から、日本人の摂取実態も踏まえ、7% エネルギー以下とした。とあります。
具体的には、15gです。
飽和脂肪酸は、主として肉の脂です。パーム油など、植物系の飽和脂肪酸もあります。

厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2015年版)」エネルギー産生栄養素バランス
https://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10901000-Kenkoukyoku-Soumuka/0000083872.pdf

「オメガ6系脂肪酸(リノール酸)」の摂取量上限


オメガ6系脂肪酸のリノール酸の摂取量目安は、農林水産省「脂質による健康影響」によると・・・
女性:7~10g(年齢、妊婦、授乳期によって違う)
男性:8~11g(年齢によって違う)

※農林水産省「脂質による健康影響」より
https://www.maff.go.jp/j/syouan/seisaku/trans_fat/t_eikyou/fat_eikyou.html

「オメガ3系脂肪酸(α-リノレン酸、EPA、DHA)」の摂取目安量


オメガ6系脂肪酸のリノール酸の摂取量目安は、農林水産省「脂質による健康影響」によると・・・
女性:1.6~2.0g(年齢、妊婦、授乳期によって違う)
男性:2.0~2.2g(年齢によって違う)

※農林水産省「脂質による健康影響」より
https://www.maff.go.jp/j/syouan/seisaku/trans_fat/t_eikyou/fat_eikyou.html

脂質全体の摂取量から、各脂肪酸の摂取量の合計を引くと


以上でまとめた数字からこのような作業をしてみます。
1日に摂取する脂質の目安量から、3つの脂肪酸の上限値(オメガ3は目安値)を引くことで、それ以外のオイルをどれだけ食べていいのかがわかるはずです。


脂質全体の摂取量上限・・・44~66g


飽和脂肪酸の摂取量上限・・・15g
オメガ6系脂肪酸の摂取量上限・・・7~11g
オメガ3系脂肪酸の摂取量目安・・・1.6~2.2g


「脂質全体の摂取量上限」から、他の脂肪酸(飽和脂肪酸、オメガ6、オメガ3)の合計量を引きます。それぞれの数値に範囲があるため、上の値と下の値の2つの計算をします。
すると、


▷(上の値)66g - 15g - 11g - 2.2g = 37.8g
▷(下の値)44g - 15g - 7g - 1.6g = 20.4g


という計算になります。
※この計算は、本質的には正確ではないですが、「おおよその理解」をするためと、ご了承ください。

「脂質全体の摂取量」から、「飽和脂肪酸」「オメガ6系脂肪酸」「オメガ3系脂肪酸」を引いた値は、

20.4g ~ 37.8g

になるということです。
この数値が、「3つの脂肪酸」以外の「脂肪酸の摂取量の目安」ということになります。

オリーブオイルとココナッツオイル


では、飽和脂肪酸と不飽和脂肪酸(オメガ6、オメガ3)を除く他の脂肪酸といえば、オメガ9中鎖脂肪酸になります。(食事から一般的に摂取しやすい脂肪酸の中で、という意味です。)

●オメガ9系脂肪酸の代表的なオイルは、オリーブオイル
●中鎖脂肪酸の代表的なオイルは、ココナッツオイル

です。ということは、理屈上は、3つのオイルの上限値を守っていた場合、オリーブオイルとココナッツオイルを合わせて、1日20.4g~37.8g食べても良いということになるはずです。

※この2つの脂肪酸の摂取量上限は、現時点で見たことがありません。


※この話を考える際の条件

ただし、実際はオリーブオイルとココナッツオイルで、20.4~37.8g 使っていいということではありません。なぜかというと、下のような条件があるからです。


●3つの脂肪酸は、脂肪酸という表記で上限値が書かれていましたが、オイルは、脂肪酸単体で構成されている訳でなく、複数の脂肪酸がグリセロールに3本付いている「トリグリセリド」という状態で存在します。ですから、オイルとして考えると実際は計算が難しいです。


オメガ6系脂肪酸(リノール酸)の摂取量上限は、7~11gですが、「見えない油」として様々な食品に含まれているリノール酸は、日々上限以上摂取している可能性があります。
リノール酸が多いサラダ油を使うと、摂取量上限をさらに超える可能性があります。


飽和脂肪酸の摂取量上限は、15gですが、これも上限を超えている可能性があります。「見えない油」「肉の脂」「乳製品」などは飽和脂肪酸が多く含まれます。


オメガ3系脂肪酸の摂取量目安は、1.6~2.2gです。これはオメガ6系脂肪酸:オメガ6系脂肪酸の比率が、4:1ということで、計算されています。ただ、脂質研究者の最新の考えでは、2:1という比率が推奨されています。ということは、3.2~4.4g 程度 摂った方がよいという計算になります。


中鎖脂肪酸の代表的なオイルであるココナッツオイル。ココナッツオイルの脂肪酸は、中鎖脂肪酸であるカプリル酸カプリン酸ラウリン酸です。この3つの中で配合比率が最も多いラウリン酸は、脂肪酸の特徴が長鎖脂肪酸に近いとされます。つまり、上限15gに抑える飽和脂肪酸に近い可能性があります。ということで、ココナッツオイルは控えめに使う、が正しいです。
MCTオイルは、カプリル酸、カプリン酸中心なので、この範疇ではありません。

こだわり商品研究所のひとこと


こだわり商品研究所では、加熱調理用のオイルとして、エキストラバージンオリーブオイルプレミアムココナッツオイルをおススメしています。


これは、脂肪酸の特徴として、加熱調理用に適している、微量栄養素や脂肪酸特性が、栄養的な機能性として優れていることが理由です。


脂質・脂肪酸摂取量(上限値、推奨値)の数値から判断しても、オリーブオイル、ココナッツオイルが適しているという理屈になったことが、とても興味深く思いました。


世界でもっともエビデンスが多い「地中海食」のメイン食材でもあるエキストラバージンオリーブオイル。調理用オイルとして、わたしも日々利用していますが、オリーブオイルを使用する必然性が、摂取量から判断されたことと、使用量の目安の判断基準が、理解できました。






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