発酵性食物繊維
「発酵性食物繊維」という言葉を目にすることが増えてきました。
わかりやすい、いい表現だと思います。
この言葉が定着すると、食物繊維の有益性のひとつが理解しやすくなるかもしれません。
食物繊維には、「水溶性食物繊維」と「不溶性食物繊維」という2つがあります。
不溶性食物繊維とは・・・
不溶性食物繊維は、セルロース、ヘミセルロース、リグニン、キチンなど。
野菜などに多く含まれている食物繊維です。
この不溶性食物繊維は、以下のような働きがあります。
・腸の蠕動運動を盛んにする。
・水分をかかえ込んで容積を増やす。
・便の量を増やして便の排泄を促す。
・腸をきれいにして大腸がんのリスクを減らす。
・発酵性は低い。
水溶性食物繊維とは・・・
それに対して、水溶性食物繊維には、βグルカン、ペクチン、アルギン酸、イヌリン、ポリデキストロース、難消化性デキストリン、グルコマンナン、グアーガムなどがあります。
ただ、これが充分に含まれている食品が意外と少ないのです。
以下のような働きがあります。
・粘着性があり胃腸内をゆっくり移動する。
・小腸での栄養素の消化吸収をゆっくりにする。
・糖質の吸収がゆるやかになり食後血糖値の急激な上昇を抑える。
・腸内細菌のエサになる。
「発酵」とは・・・
水溶性食物繊維と不溶性食物繊維は、同じ食物繊維でも働きが違います。
どの働きも大切ですが、近年特に注目されているのが、腸内細菌のエサになって短鎖脂肪酸を産生する働きです。
これを「発酵(体内発酵)」と表現します。
一般的に、
● 水溶性食物繊維は、腸内細菌のエサになりやすく発酵しやすい。
● 不溶性食物繊維は、腸内細菌のエサになりにくく発酵しにくい。
このような考え方でしたが、アラビノキシランのようにヘミセルロース(不溶性食物繊維)でも発酵する食物繊維がわかってきたそうです。
※アラビノキシランは、イネ科などの植物に含まれるヘミセルロースの一種です。大麦にも含まれます。
発酵性食物繊維とは・・・
だから水溶性、不溶性という考え方とは別の分類として、「発酵性食物繊維」という考え方をする必要がある、と考えられているようです。
食物繊維の「発酵(体内発酵)」の部分に焦点を当てた表現です。
それほど「発酵(体内発酵)」という機能性は重要、ということが理解できます。
なぜ発酵することが重要なのか?
こだわり商品研究所でご紹介している「イヌリア®発酵するナチュラルイヌリン」という商品があります。帝人の商品なのですが、最初から商品名にも「発酵」という文字を入れて、発酵する食物繊維、であることを説明していました。
では、
なぜ発酵することが重要であるのか?
ですが、先ほど書きましたが、
腸内細菌が、発酵性食物繊維をエサにすることで、スーパー物質「短鎖脂肪酸」を産みだすから。
この短鎖脂肪酸が、いろいろな「機能性」を発揮するのです。
その「機能性」は下にご紹介する、発酵性食物繊維という言葉が登場する記事(下に紹介)にも書かれています。
短鎖脂肪酸の機能性
2021年6月NHKの番組で「発酵性食物繊維」の特集がありました。
この番組内で、短鎖脂肪酸の機能性としてこの3つが取り上げられていました。それが、
● 肥満を防止
● 血糖値を下げる
● 免疫機能の正常化
短鎖脂肪酸にも、酢酸、酪酸、プロピオン酸などあります。
働く場所や、腸内細菌の種類によっても、他に機能性が多くあると思います。
発酵性かどうかを意識して食物繊維を食べる
「発酵性食物繊維」という言葉を知ることで、生活者が食物繊維を食べるときに、
「発酵性かどうか」
ということを意識することになり、食物繊維を食べる目的を理解しやすくなり、発酵性食物繊維の摂取量が増えることに繋がる、のではないかと思っています。
▼ 発酵性食物繊維という言葉が使われている記事です。
フェイスブックのタイムラインに掲載されていた記事です。
フェイスブックが提供する仕組みを使って、このページに埋め込みました。
全粒穀物で死亡リスクが下がる https://style.nikkei.com/article/DGXMZO68700890R00C21A2000000?channel=DF140920160927&n_cid=LMNST011
こだわり商品研究所さんの投稿 2021年2月9日火曜日
この記事は、青江誠一郎先生に話を聞いています。
青江先生は、日本食物繊維学会の理事長をされてらっしゃっるこの分野の第一人者の先生です。
わたしは食物繊維学会や大麦食品推進協議会などで4回ほど講演を聞かせていただいたことがあります。
大麦をはじめとする全粒穀物の健康への良い影響が書かれています。
その大きな理由が「発酵性食物繊維」です。
とても勉強になる記事です。
β-グルカンは、別格の働きをするという発言も興味深いです。