大麦食品シンポジウム(2017)の講演を受講した記録と感想です。

大麦

大麦食品シンポジウム2017


大麦食品推進協議会という「大麦食品の普及によって、国民の健康増進に寄与すること」を目的として活動している団体が開催している大麦食品シンポジウム2017年の講演を聞いた記録と感想です。大麦を理解するのにとても役立ちます。


年に1回大麦食品シンポジウムという会が開催されます。大麦食品推進協議会という「大麦食品の普及によって、国民の健康増進に寄与すること」を目的として活動している団体が開催しています。
わたしは、ここ数年、毎年参加させていただいているのですが、大麦を理解するのに非常に勉強になっています。

今回は、大麦食品シンポジウムの2017年の講演をまとめてみましたので、ご覧ください。ぜひ、大麦のことを知ってもらいたいと思います。
※講演の中で具体的な病名がいくつか登場しましたが、この記録の方向性として誤解を与える可能性があるため、この記録には表示しませんでした。


池上幸江先生の講演でした。

講演は、大妻女子大学の池上幸江先生でした。(2017年当時の役職)
先生は、大麦食品推進協議会の会長でもあり、厚生省国立(健康)栄養研究所で30年、厚生省国立衛生試験所でも研究をされてこられた食物繊維、大麦研究の第一人者の先生です。
このような経歴をお持ちの先生が、大麦を推奨してらっしゃるということ自体が、大麦食品の可能性を感じるひとつの理由ではないかと思っています。


食物繊維とは・・・

まずは、食物繊維の定義です。
食物繊維と一言で言いますが、なかなか改めて定義を確認する機会は少ないと思います。

●食物繊維とは:人の消化酵素では消化されない成分
●主に植物性食品(穀類、野菜、果物、いも、きのこ、海藻)に含まれる消化されにくい多糖類とリグニン
●水に溶けやすい水溶性食物繊維と水に溶けにくい不溶性食物繊維に分けられる。


食物繊維の働き

●食物中の栄養成分などの消化吸収を抑制することによって生活習慣病を予防する。悪玉(LDL)コレステロールの低下、食後血糖値の低下
●大腸の機能を正常開始、排便習慣を改善し、腸内細菌叢の改善


日本人は食物繊維摂取量が減ってきている。

日本人の食物繊維摂取量の変化ですが、全体的に少なくなっているそうです。
その少なくなっているのは、穀物からの食物繊維の摂取量が減っていることが、ひとつの要因ということです。
精製された白米が中心となっていることと、お米離れが原因でしょうか。

年齢別の食物繊維摂取量ですが、本来男性で20g以上、女性で18g以上の食物繊維を毎日食べる必要があるのですが、どの年代も食物繊維が足りないことがわかります。(本来は表を見ながら説明を受けました)


穀物に含まれる食物繊維含有量

いろいろな穀物に含まれる食物繊維含有量です。(実際は表を見ながら。ポイントだけまとめました。)
●注目は、玄米より麦の方が食物繊維が3倍程度多いです。しかも水溶性食物繊維の量が多いことがポイントです。
●穀物の中でイチバン食物繊維が多いのが大麦だそうです。
●精白米は、水溶性食物繊維はほぼ入っていません。


大麦の健康機能です。(2017年の時点です。)

●確実な健康機能
1、血中コレステロール低下
2、食後血糖値の低下
3、大腸機能の改善

●かなり可能性の高い機能です。
1、セカンドミール機能
2、満腹感の維持
3、肥満、メタボリックシンドロームの改善
4、免疫機能の向上、アレルギー低減


血清脂質成分に対する大麦の影響

●悪玉(LDL)コレステロールを低下
●善玉(HDL)コレステロールや中性脂肪には影響がない
●LDLコレステロールが正常者には大麦摂取による影響はない

確実な機能に書かれていた血中コレステロールの低下に関する詳しい説明です。
悪玉コレステロールは低下させるが、善玉には影響がないということです。
しかもコレステロールが正常な方には、影響がないということです。

2008年に行われた実験データがありました。
日本人の男性高脂血症者が、精白米を食べた場合と、大麦ご飯を食べた場合のLDLコレステロールの差です。
有意な差が見て取れました。


血糖値に対する大麦の影響

●大麦摂取後の血糖値は上がりにくい
●大麦はGI値が低い
●大麦摂取後の次の大麦を含まない食事でも血糖値が上がりにくい(セカンドミール効果)

大麦を食べた後の血糖値は上昇しにくいようです。しかも、一度大麦を食べた次の食事でも血糖値の上昇は上がりにくいそうです。これをセカンドミール効果と言います。


グルコース、白米、大麦と比べた時の血糖値と、インスリンの量の比較の表がありました。
白米に比べて食後の血清インスリン総量が40%低いという2009年の実験データです。

大麦は、GI値が低いことがわかります。白米の40%以下ですね。


世界における大麦の健康表示

日本は、食品の健康効果の表示が厳しいため、健康効果を表示することが難しいですが、世界では大麦は様々な健康表示がされています。大麦のβグルカン、食物繊維の働きです。

米国・・・血中コレステロール低下
カナダ・・・血中コレステロール低下
欧州連合・・・血中コレステロール低下、食後血糖値の上昇抑制、排便効果促進
オーストラリア・・・血中コレステロール低下


大麦はスーパーフード

以上なのですが、このシンポジウムで演者の方々が、口にされていたのが、大麦を研究すればするほど、大麦は本当のスーパーフードなのだということを確信するそうです。

国民の健康のために、大麦をもっと一般に普及させる必要がある、ということを仰ってました。
現在、糖質制限で白米離れが進んでいますが、大麦の利用が白米離れを防ぐ役割になるのでは、ということも話されていました。

しかも、大麦にはまだ解明されていない栄養素が、含まれている可能性も高いそうです。
いくつかの可能性のある栄養素も話に出てきました。
わたしも毎日大麦を食生活に取り入れていますが、より一層注目していきたいと思っています。

じつは、2017年時点では、わたしは、大麦の機能の素晴らしさを本当に理解しているとは言えませんでした。この後、いろいろな講演を聞いて、勉強をして、徐々に大麦、水溶性食物繊維の機能のすごさを理解していくようになります。

現在(2020年)は、こころから大麦はスーパーフードであると理解しています。
エイジングケアを考えるにあたって、大麦は決して外してはならない食品ではないかと思っています。